イジワル婚約者と花嫁契約
いるはずのない人物を前に目をパチクリさせていると、田中さんはゆっくりと顔を上げた。
「代表もお待ちですので、お早めに乗車していただけないでしょうか?」
「代表って……お兄ちゃんが!?」
ギョッとし慌てて車へと向かうと、田中さんの言う通り後部座席には書類に目を通しているお兄ちゃんの姿があった。
余程集中しているのか私の存在には気付いていない様子。
「えっ!?今日って確か朝一で会議でしたよね!?」
興奮を押さえられずお兄ちゃんと田中さんを交互に見つめてしまう。
そうだよ間違いない。
だってこの情報は昨日田中さんから聞いたのだから。
「はい、しっかりと朝一で会議にご出席されてきました」
田中さんはいつものように淡々と話し出した。
「よほど灯里さんのことが心配だったようで、自ら進行役を買って出て素早く終わらせてきました」
「おっ、終わらせてって……」
顔が引きつる。
「ですが次の予定が詰まっております。なのでご理解いただけたら乗車お願いします」
そう言われてしまってはもう「電車で行きます」とは言えない。
「すみません、よろしくお願いします」
「代表もお待ちですので、お早めに乗車していただけないでしょうか?」
「代表って……お兄ちゃんが!?」
ギョッとし慌てて車へと向かうと、田中さんの言う通り後部座席には書類に目を通しているお兄ちゃんの姿があった。
余程集中しているのか私の存在には気付いていない様子。
「えっ!?今日って確か朝一で会議でしたよね!?」
興奮を押さえられずお兄ちゃんと田中さんを交互に見つめてしまう。
そうだよ間違いない。
だってこの情報は昨日田中さんから聞いたのだから。
「はい、しっかりと朝一で会議にご出席されてきました」
田中さんはいつものように淡々と話し出した。
「よほど灯里さんのことが心配だったようで、自ら進行役を買って出て素早く終わらせてきました」
「おっ、終わらせてって……」
顔が引きつる。
「ですが次の予定が詰まっております。なのでご理解いただけたら乗車お願いします」
そう言われてしまってはもう「電車で行きます」とは言えない。
「すみません、よろしくお願いします」