イジワル婚約者と花嫁契約
どうしよう、手が震えちゃう。

それでも健太郎さんに促されるまま、紙袋の中を見るとそこには可愛くラッピングされた小さな箱が入っていた。
取り出し、リボンを外している間も緊張で手が震えている。

そっとケースを開けると、ダイヤモンドが光り輝く指輪が入っていた。

「今の流行りとか全然分からないからさ、職場で詳しそうな子に付き合ってもらったんだ。……婚約指輪だし、灯里が喜ぶものをあげたかったから」

「健太郎さん……」

どうしよう、これって夢じゃないのかな?
だってこんな展開、幸せすぎて怖い。

ずっと不安だった。どうして健太郎さんは私と結婚したいのか。
そんな時に健太郎さんが他の人と一緒にいるところを見てしまい、勝手に絶望して諦める準備をして……。

だけど違ったんだ、この指輪は私のために選んでくれていたんだ……。

「……っおい!なんで泣いているんだよ」

「だって……!」

気持ちが昂ぶり、気付けば涙が溢れてしまっていた。
そんな私を見て健太郎さんはギョッとし慌てているけど、どうしてもこの涙は止められそうにないよ。
< 153 / 325 >

この作品をシェア

pagetop