イジワル婚約者と花嫁契約
けたたましいクラクションの音と共に、真正面から照らされるハイビーム。
「っなんだよ一体!」
さっきまでの甘いムードは一瞬にして消え失せ、窓を開けなくても聞こえてきた声に耳を疑った。
「灯里ー!!無事かー!」
え……嘘、この声って……!
「お兄ちゃん……?」
「マジかよ」
落胆した声を上げながら、ゆっくりと離れていく健太郎さん。
寂しさを感じつつも、今はそれどころじゃない。
ドアが閉まる音が聞こえてくると、すぐに私が乗っている助手席のドアが開かれた。
「灯里っ!大丈夫だったか!?」
そしてもちろんドアを開けたのはお兄ちゃんで、いつになく切羽詰った表情で視線が釘づけになってしまう。
私の無事を確認するとすぐにお兄ちゃんの表情は険しさを増していき、鋭い視線が健太郎さんに向けられた。
「おい貴様!よくも俺の目の前で灯里を連れ去ってくれたな!」
「お前」から「貴様」に変わっていて、相当ご立腹なのが見て取れる。
「おっ、お兄ちゃん落ち着いて。それに悪いのは私――……」
「灯里は黙っていなさい!」
「悪いのは私だから」そう言いたかったのに、お兄ちゃんは遮りますます健太郎さんを睨みつけた。
「っなんだよ一体!」
さっきまでの甘いムードは一瞬にして消え失せ、窓を開けなくても聞こえてきた声に耳を疑った。
「灯里ー!!無事かー!」
え……嘘、この声って……!
「お兄ちゃん……?」
「マジかよ」
落胆した声を上げながら、ゆっくりと離れていく健太郎さん。
寂しさを感じつつも、今はそれどころじゃない。
ドアが閉まる音が聞こえてくると、すぐに私が乗っている助手席のドアが開かれた。
「灯里っ!大丈夫だったか!?」
そしてもちろんドアを開けたのはお兄ちゃんで、いつになく切羽詰った表情で視線が釘づけになってしまう。
私の無事を確認するとすぐにお兄ちゃんの表情は険しさを増していき、鋭い視線が健太郎さんに向けられた。
「おい貴様!よくも俺の目の前で灯里を連れ去ってくれたな!」
「お前」から「貴様」に変わっていて、相当ご立腹なのが見て取れる。
「おっ、お兄ちゃん落ち着いて。それに悪いのは私――……」
「灯里は黙っていなさい!」
「悪いのは私だから」そう言いたかったのに、お兄ちゃんは遮りますます健太郎さんを睨みつけた。