イジワル婚約者と花嫁契約
第七条『一人で泣かないこと』
「灯里、今なら行っても大丈夫よ」
「本当?」
自宅だというのに、お母さんとふたりまるで泥棒のようにリビングの様子を盗み見ていた。
そのリビングではお父さんとお兄ちゃんが会話に華を咲かせている。
「あの子、経営に関する話をすると止まらなくなるの。今すごく話が盛り上がっているから気付かれないわ」
「分かった。じゃあ行ってくるね」
覚悟を決め、ギュッと鞄を握りしめるとお母さんが少しだけ乱れてしまった髪を整えてくれた。
「デート、楽しんでいらっしゃい」
「……はーい」
少しだけ照れ臭さを感じながら、お兄ちゃんにバレないうちにとそっと玄関へ向かい家を出た。
【今日って今から会えるか?】
こんなメールがきたのは、帰宅して家族で寛いでいるときだった。
突然のお誘いに思わず声が出そうになったのを押さえるのが大変だったくらい、一気にテンションが上がってしまった。
それというのも、あの日から健太郎さんとは会えず二週間が過ぎていたからだ。
「本当?」
自宅だというのに、お母さんとふたりまるで泥棒のようにリビングの様子を盗み見ていた。
そのリビングではお父さんとお兄ちゃんが会話に華を咲かせている。
「あの子、経営に関する話をすると止まらなくなるの。今すごく話が盛り上がっているから気付かれないわ」
「分かった。じゃあ行ってくるね」
覚悟を決め、ギュッと鞄を握りしめるとお母さんが少しだけ乱れてしまった髪を整えてくれた。
「デート、楽しんでいらっしゃい」
「……はーい」
少しだけ照れ臭さを感じながら、お兄ちゃんにバレないうちにとそっと玄関へ向かい家を出た。
【今日って今から会えるか?】
こんなメールがきたのは、帰宅して家族で寛いでいるときだった。
突然のお誘いに思わず声が出そうになったのを押さえるのが大変だったくらい、一気にテンションが上がってしまった。
それというのも、あの日から健太郎さんとは会えず二週間が過ぎていたからだ。