イジワル婚約者と花嫁契約
第八条『一番に夫を頼ること』
心地よいぬくもりと、肌触りの良い布団。
そして大好きな人の腕に抱かれて寝た夜――懐かしい夢を見た。
それはまだ幼い頃の断片的な記憶。
ただ毎日が楽しくて、パパとママと過ごす日々が幸せで毎日笑って過ごしていた。
なのにそんな日常が突然奪われてしまって、毎日が苦痛で悲しくて仕方なかった。
ふたりが目の前から消える夢を何度見ただろうか。
次第に夜眠るのが怖くなったんだ。
でも、ある日を境にそんなこと全く感じなくなっていったんだ……。
「んっ……」
頬に触れるくすぐったい感覚に重い瞼を開けるとすぐに飛び込んできたのは、至近距離で私を見つめる健太郎さんの顔。
驚きのあまり声を上げそうになってしまった私に、健太郎さんは朝から豪快に笑い出す。
「灯里驚きすぎ。……びっくりした?起きて俺が隣にいて」
「は……い」
そうだった。昨日私、健太郎さんと……。
一瞬にして昨夜の情景が頭に浮かんでしまい、気恥ずかしくて布団をすっぽり被る。
そして大好きな人の腕に抱かれて寝た夜――懐かしい夢を見た。
それはまだ幼い頃の断片的な記憶。
ただ毎日が楽しくて、パパとママと過ごす日々が幸せで毎日笑って過ごしていた。
なのにそんな日常が突然奪われてしまって、毎日が苦痛で悲しくて仕方なかった。
ふたりが目の前から消える夢を何度見ただろうか。
次第に夜眠るのが怖くなったんだ。
でも、ある日を境にそんなこと全く感じなくなっていったんだ……。
「んっ……」
頬に触れるくすぐったい感覚に重い瞼を開けるとすぐに飛び込んできたのは、至近距離で私を見つめる健太郎さんの顔。
驚きのあまり声を上げそうになってしまった私に、健太郎さんは朝から豪快に笑い出す。
「灯里驚きすぎ。……びっくりした?起きて俺が隣にいて」
「は……い」
そうだった。昨日私、健太郎さんと……。
一瞬にして昨夜の情景が頭に浮かんでしまい、気恥ずかしくて布団をすっぽり被る。