イジワル婚約者と花嫁契約
しかも料理はどれも絶品!
だから私も千和さんもお気に入りの場所で、会社の人達に聞かれたくないような話をする際は、よくここを訪れていた。

「それにしても驚いた。まさか昨日のたった数時間後にはそんなことが起きていたなんて。……でも勇気を出してちゃんと自分の気持ちを言えてよかったね」

「……はい、本当千和さんのおかげです」

千和さんがいつも話を聞いてくれて、そしてアドバイスしてくれるから。
だから私はそのたびに成長できているんだ。

「やだな、私はただ自分が嫉妬深い人間だって打ち明けただけで、なにもしていないよ?……最後に頑張ったのは灯里ちゃんなんだから、自信持たなくちゃ」

笑いながらご飯を頬張る姿に、頬が緩む。
こうやって飾らなくて恩着せがましくない。いつも自然体な千和さんがやっぱり私は大好きだ。

「それで話は戻るけど、つまり昨日灯里ちゃんはうちに泊まったってことにすればいいのね」

「あっ、はい。……すみませんご迷惑おかけしてしまって」

好きな人であるお兄ちゃんに嘘をつかせてしまうのだから。
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