イジワル婚約者と花嫁契約
「佐々木君に灯里の携帯の番号とアドレス教えておいたからな」

「――え?」

ちょっと待って。
お父さんってば今、なんて言った?

あり得ない話に目が点状態。
だけどそんな私には目もくれず、お父さんは嬉しそうに言葉を続けた。

「近いうちにデートに誘ってくれるそうだから、楽しみに連絡を待っていなさい」

「デート!?」

なにそれ!
いつの間にあの人、お父さんにそんな話をしていたの!?
それよりも勝手に私の連絡先教えるなんて……!

怒りが込み上げるものの、相変わらず上機嫌のお父さんを前にしたら、怒りをぶつけることなど出来ない。
どうにか堪え、「疲れたから休む」とふたりに伝え自分の部屋へと急いだ。
部屋に着くとすぐに確認してしまうのは、自分のスマホ。

連絡先を知っているのなら、早速きているかもしれない。
そんな思いがよぎり恐る恐る画面を見ると、案の定見知らぬアドレスから新着メールが一件届いていた。

「もしかして……」

ゆっくりと受信ボックスを開くと、真っ先に映し出された件名。

「……嫁になるための十ヶ条……?」

なにこれ。
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