イジワル婚約者と花嫁契約
興奮するお兄ちゃんとは違い、健太郎さんは至って冷静だった。
「医者である前に、灯里の恋人ですから。当然の行為だと思いますが?」
「なんだと!?」
「けっ、健太郎さん!」
火に油を注ぐとはまさにこのことだ。
どうしてお兄ちゃんを逆なでするようなことを言うのよ。
まさにふたりは火と水状態。
どうしたらいいか分からずにいると、病室に響いたのは大きな咳払い。
「代表、落ち着いて下さい。ここは病室です」
そして聞こえてきたのは、そっと入ってきた田中さんの声だった。
「いや、しかしっ……!」
「それに佐々木さんは灯里さんのオペを担当して下さったお医者様です。兄としてお礼を言うべきでは?」
「グッ……!」
有無を言わさぬ物言いに、ポカンとしてしまう。
さすがは田中さんだ。あんなに怒りで興奮していたお兄ちゃんをたった数秒で落ち着かせてしまったのだから。
するとお兄ちゃんはわざとらしく咳払いをし、そっぽ向いたまま乱暴に言い放った。
「お前のことは大嫌いだが、灯里を救ってくれたことには感謝する!」
「医者である前に、灯里の恋人ですから。当然の行為だと思いますが?」
「なんだと!?」
「けっ、健太郎さん!」
火に油を注ぐとはまさにこのことだ。
どうしてお兄ちゃんを逆なでするようなことを言うのよ。
まさにふたりは火と水状態。
どうしたらいいか分からずにいると、病室に響いたのは大きな咳払い。
「代表、落ち着いて下さい。ここは病室です」
そして聞こえてきたのは、そっと入ってきた田中さんの声だった。
「いや、しかしっ……!」
「それに佐々木さんは灯里さんのオペを担当して下さったお医者様です。兄としてお礼を言うべきでは?」
「グッ……!」
有無を言わさぬ物言いに、ポカンとしてしまう。
さすがは田中さんだ。あんなに怒りで興奮していたお兄ちゃんをたった数秒で落ち着かせてしまったのだから。
するとお兄ちゃんはわざとらしく咳払いをし、そっぽ向いたまま乱暴に言い放った。
「お前のことは大嫌いだが、灯里を救ってくれたことには感謝する!」