イジワル婚約者と花嫁契約

「由美はショックじゃないの？だって佐々木先生とさ……」

え……由美って、もしかして梅沢さん？
一気に心臓の鼓動が速くなる。

「えー……別にショックじゃないかな？」

聞こえてきたのは梅沢さんの声。
そう言うと梅沢さんは話を続けた。

「ここだけの話、親同士の政略結婚らしいよ？」

「そうなの？」

「間違いないよ。だって私、佐々木先生本人から聞いたし。それに噂では結婚する代わりに相手から多額の援助してもらうらしいし」

「うっわ。それって完璧政略結婚じゃない！佐々木先生可哀想」

さっきから聞こえてくる信じられない話に、唖然としてしまう。

ちょっと待って。頭がついていかない。
なにその話。政略結婚？多額の援助？……そんなの知らない。

心臓は驚くほど速く脈打ち、変な汗が流れてきそうだ。

それでも外にいる梅沢さん達は私に聞かれているとは思っておらず、話は弾む一方だった。

「だから別に気にしていないの。むしろ既婚者ってなんか佐々木先生の魅力が増すと思わない？」

「確かに！不倫って響きヤバイよね」