イジワル婚約者と花嫁契約
な、にを言っているの？梅沢さんは。

頭の中が真っ白になる。
だけど梅沢さんは容赦なく話を続ける。

「すみません、こんなこと言いたくないんですけど、あなたとお見合いするまで私と佐々木さんは恋愛関係にあったんです。……なのにあなたとお見合いをするからという理由で振られてしまいました」

ちょっと待って、なにそれ。
それってつまり、梅沢さんと健太郎さんは恋人関係だったってことなの？

信じがたい話に目を見開くばかり。
そんな私を見て梅沢さんは勝ち誇ったように笑った。

「やはりご存知なかったんですね。でも本当の話ですから。でも勘違いなさらないで下さい。あなたから佐々木先生を本気で奪おうなんて考えていませんから。……ただ知って頂きたかったんです。私と佐々木先生の関係を。……これからもずっと」

「……っ！」

あの日の梅沢さん達の会話が頭をよぎる。

それってつまり、私のせいで健太郎さんと別れてしまったのだから、今後も関係が続いていたとしても黙認しろってこと？

「一之瀬さんも大変ですね。家のために犠牲になるなんて」

違う、そんなんじゃない。
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