イジワル婚約者と花嫁契約
ちゃんと聞こう。両親とそして健太郎さんに――……。



「灯里、退院おめでとう」

「ありがとう」

それから二日後、予定通り無事に退院することができた。
梅沢さんとは会うことはなかったけれど、健太郎さんとは昨日も、そして今日退院する時も挨拶にきてくれた。
やっぱりどう考えても、健太郎さんの言動からは信じることなどできなかった。
梅沢さんの話は、嘘のように思えてならなかったんだ。

本当はすぐにでも聞きたかったけれど、最初に両親に聞いてからにしようと決めた。
だって梅沢さんの話が嘘だったら、聞かれた健太郎さんは気を悪くしてしまうと思ったから。

笑顔で健太郎さんに見送られ、こうして無事に退院し夕食は早速私の退院祝いをしてくれていた。

「盲腸だと分かっても、やっぱり手術中は心配で仕方なかったわよね」

「そうだな、家族が手術を受けるなんて初めてのことだったしな」

両親の会話につい頬が緩んでしまう。
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