イジワル婚約者と花嫁契約
「なに、それ。どうして……?」

どうしてそんなことが言えるの?

「だからそれはこれを読んでみろって。……そこに全部書いてある。あいつの想いが」

信じられない話にお兄ちゃんを見つめてばかり。
でもそんな私に向かってお兄ちゃんは「読めば分かる」を繰り返すばかり。

そう言われてしまったら、読むしかない。
それにこのファイルに全て私が知りたいことが書かれているのなら、読まないといけないのかもしれない。

意を決し書かれている文字を目で追っていく。

だけどそこに書かれていたのは、信じがたい真実ばかりで目を見開くばかりだった。

そして最後まで読み終える頃には、自分でも気付かないうちに涙が溢れていて、ポタポタを床に落ちていた。

「お兄ちゃん……ここに書かれていることは本当、なの?」

報告書と書かれていても、聞かずにはいられなかった。
涙を拭うことなく問いかけると、お兄ちゃんは力強く大きく頷いた。

「当たり前だ。高い金を払って調べさせたんだから。……で?これを読んで灯里はどうしたい?」
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