イジワル婚約者と花嫁契約

「ならそれをそのまま灯里に伝えてやってくれ。……今病院の目の前にいるんだ。一時間だけ時間をやるから」

そう言うとお兄ちゃんは私に向かって微笑んだ。

「……あぁ、病院の目の前にある公園に灯里を下ろしていく。できっちり一時間後には灯里を迎えに来るからな！……それと貴様の過去を調べさせてもらった。……あぁ、ばっちり灯里にも伝えてあるから覚悟して来いよ」

一方的に電話を切ると、お兄ちゃんは「そんなわけだ」と言うと、私の背中をグイグイ押しては早く車から降りろと急かしてくる。

「ちょっ、ちょっと待ってよお兄ちゃん！」

慌ててドアを開け車から降りると、すぐにお兄ちゃんの手によってドアを閉められウインドウが開いた。

「兄ちゃんがしてやれることはここまでだ。さっきの電話聞いていただろ？あそこの公園で待っていろ。……それと一時間後には迎えにくるから」

「……うん」

それにしてもあまりに乱暴に降ろされてしまい、少し調子が狂ってしまう。
それにお兄ちゃんは気付いたのか、困ったように眉を下げた。