イジワル婚約者と花嫁契約
「早く夕方になることを祈るばかりね」
「……はい」
目を輝かせて同意を求めてきた千和さんに苦笑いしつつも、返事をした。
千和さんは入社当時からお兄ちゃんに対して、好意を寄せてくれているようだった。
妹として嬉しいし、なにより千和さんとなら私もうまくいってほしいと願っている。
……本当、もう三十四歳にもなるし、いい加減いい人を見つけてほしい。その相手が千和さんなら言うことナシなんだけどな。
お兄ちゃんのことは昔から好きだった。
十歳も歳が離れていたのに、本当の妹のように可愛がってくれたし、それは今も変わらない。……いや、昔以上に周囲が驚くレベルで可愛がってくれていると言った方が、正しいのかもしれない。
「いらっしゃいませ――……」
「灯里!!」
エントランスからやってきた人影。
この時間、来客の予定はなかったものの、新規のお客様かもしれない。
すぐに頭を下げたものの、聞こえてきた声に頭を上げると同時に、テーブル越しに思いっきり抱きしめられてしまった。
「ちょっ……!代表!?」
いきなり変質者の如く抱き着いてきたのは、紛れもなく私のお兄ちゃんであり、そして我が社の代表だ。
「……はい」
目を輝かせて同意を求めてきた千和さんに苦笑いしつつも、返事をした。
千和さんは入社当時からお兄ちゃんに対して、好意を寄せてくれているようだった。
妹として嬉しいし、なにより千和さんとなら私もうまくいってほしいと願っている。
……本当、もう三十四歳にもなるし、いい加減いい人を見つけてほしい。その相手が千和さんなら言うことナシなんだけどな。
お兄ちゃんのことは昔から好きだった。
十歳も歳が離れていたのに、本当の妹のように可愛がってくれたし、それは今も変わらない。……いや、昔以上に周囲が驚くレベルで可愛がってくれていると言った方が、正しいのかもしれない。
「いらっしゃいませ――……」
「灯里!!」
エントランスからやってきた人影。
この時間、来客の予定はなかったものの、新規のお客様かもしれない。
すぐに頭を下げたものの、聞こえてきた声に頭を上げると同時に、テーブル越しに思いっきり抱きしめられてしまった。
「ちょっ……!代表!?」
いきなり変質者の如く抱き着いてきたのは、紛れもなく私のお兄ちゃんであり、そして我が社の代表だ。