イジワル婚約者と花嫁契約
たったそれだけで、緊張も恥ずかしさも薄れていくから不思議だ。
健太郎さんと想いが通じ合ったあの日から約一ヵ月後の今日。
彼の実家を訪れていた。
「父さん、母さん。……俺、灯里と結婚するから」
私の手を握りしめたまま、目の前に座る両親に力強い眼差しで話す姿に、胸はキュンとしてしまう。
健太郎さんの実家を訪れた理由。
それは私達のことを、健太郎さんのご両親に報告することと、そしてもうひとつ。
「そんなの分かっているさ。お前が灯里さんに昔から惚れていたのは、私も母さんも知っているしな」
「よかったわね、健太郎」
笑顔で認めてくれたことに涙が溢れそうになる。
そしてこの笑顔、やっぱり記憶にある。
「あのっ……!ご挨拶が遅れてしまいましたが、その……幼少期は大変お世話になりました!なのに私、忘れてしまっていてっ」
伝えたい言葉がうまく出てこない。
ただ感謝の気持ちを伝えたいだけなのに……。
だけど健太郎さんのご両親は優しい眼差しで私を見つめていた。
昔を懐かしむように――……。
健太郎さんと想いが通じ合ったあの日から約一ヵ月後の今日。
彼の実家を訪れていた。
「父さん、母さん。……俺、灯里と結婚するから」
私の手を握りしめたまま、目の前に座る両親に力強い眼差しで話す姿に、胸はキュンとしてしまう。
健太郎さんの実家を訪れた理由。
それは私達のことを、健太郎さんのご両親に報告することと、そしてもうひとつ。
「そんなの分かっているさ。お前が灯里さんに昔から惚れていたのは、私も母さんも知っているしな」
「よかったわね、健太郎」
笑顔で認めてくれたことに涙が溢れそうになる。
そしてこの笑顔、やっぱり記憶にある。
「あのっ……!ご挨拶が遅れてしまいましたが、その……幼少期は大変お世話になりました!なのに私、忘れてしまっていてっ」
伝えたい言葉がうまく出てこない。
ただ感謝の気持ちを伝えたいだけなのに……。
だけど健太郎さんのご両親は優しい眼差しで私を見つめていた。
昔を懐かしむように――……。