イジワル婚約者と花嫁契約
それは全て初めて知る両親の一面ばかりで、少しずつ思い出していたふたりの存在にまた近付けた気がした。
「どうぞ」
「おじゃまします」
あれから時間はあっという間に過ぎていき、夕食はみんなで外食に出ようということになった。
まだ夕食の時間には早いため、お母さんの提案で健太郎さんの部屋を訪れたものの、初めて入る空間に緊張してしまう。
大学生までこの部屋で過ごしていたと言っていたけれど、本棚はぎっしりと医学書で埋まっていて、男の人らしいシンプルな部屋だった。
「ここ、灯里も昔よくいた部屋だよ」
「私が?」
「あぁ、遊びに来た時はよくこの部屋でふたりで遊んでいたんだ。それに灯里に夫になるための三ヶ条を突きつけられたのも、まさにこの部屋だよ」
声を押し殺してそう話す健太郎さんに、一気に顔が熱くなる。
「その話はもうやめてくださいって言ったじゃないですか!」
「そのたびに俺は言っているだろ?こんな可愛い話、一生忘れないしむしろ生まれてくる我が子にも聞いてきかせるさ」
「どうぞ」
「おじゃまします」
あれから時間はあっという間に過ぎていき、夕食はみんなで外食に出ようということになった。
まだ夕食の時間には早いため、お母さんの提案で健太郎さんの部屋を訪れたものの、初めて入る空間に緊張してしまう。
大学生までこの部屋で過ごしていたと言っていたけれど、本棚はぎっしりと医学書で埋まっていて、男の人らしいシンプルな部屋だった。
「ここ、灯里も昔よくいた部屋だよ」
「私が?」
「あぁ、遊びに来た時はよくこの部屋でふたりで遊んでいたんだ。それに灯里に夫になるための三ヶ条を突きつけられたのも、まさにこの部屋だよ」
声を押し殺してそう話す健太郎さんに、一気に顔が熱くなる。
「その話はもうやめてくださいって言ったじゃないですか!」
「そのたびに俺は言っているだろ?こんな可愛い話、一生忘れないしむしろ生まれてくる我が子にも聞いてきかせるさ」