イジワル婚約者と花嫁契約
まさかの話にギョッとしてしまう。

「そんな話子供になんてしないで下さい!断固反対します!!」

力強く言ったというのに、ますます健太郎さんは可笑しそうに笑い出し、そのまま私の身体を引き寄せた。

「ちょっと健太郎さん!?」

同じ家に健太郎さんのご両親がいるかと思うと、ドギマギしてしまう。
なのに健太郎さんは私の身体を離すことなく、自分の額を私の額にくっつけて嬉しそうに笑った。

「なんかいいな。こうやって灯里と将来の話をするとか。幸せだなって実感させられる」

健太郎さん……。

額をくっ付けた至近距離のまま、健太郎さんは話を続けた。

「なぁ灯里、将来子供は沢山作ろうな」

「沢山、ですか?」

「あぁ、だって家族は賑やかな方がいいだろ?そして聞かせてやろう。……俺達の運命的な話をさ」

運命的な話……。
想像するだけで自然と口元が緩んでしまう。

「いいですね、それ。それで私達の子供も将来運命的な恋愛をしてほしい」

「そりゃするに決まっているだろ?俺達の子なんだから。……だけどまぁ、その前には籍を入れて結婚式を挙げて。いや、それ以前に灯里の兄さんに認めてもらわないとな」
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