イジワル婚約者と花嫁契約
夕食を終え、両親と一息ついている時だった。お父さんが急にそんなことを言い出したのは。
一之瀬灯里(いちのせあかり)二十四歳。
両親と兄の四人暮らし。
両親は企業家で、兄もまた自分で立ち上げた会社を経営している。
私はというと、特にこれといった特技や才能があるわけではなく、企業した兄の会社で働いている。
よく周囲から『なんで一人だけ才能ないの?』なんて嫌味を言われたりするけれど、それは当たり前な話だった。
だって私、家族とは誰一人とも血は繋がっていないのだから――……。
幼い頃、両親を事故で亡くし、身寄りのなかった私は数年間施設で過ごしていた。
だけどそんなある日、今の両親に養子として迎えられたのだ。
お母さんはどうしても女の子が欲しかったものの、出産できない身体になってしまった。
そんな家族に迎えられ、最初は戸惑いがあったものの、両親は優しくて兄も可愛がってくれて。
すぐに今の生活に馴染むことができたのだ。
今では私にとって家族は、かけがえのない存在だ。
そんな両親から、まさかいきなりお見合い話を持ち掛けるとは夢にも思わず、飲んでいた紅茶を吐き出しそうになってしまった。
一之瀬灯里(いちのせあかり)二十四歳。
両親と兄の四人暮らし。
両親は企業家で、兄もまた自分で立ち上げた会社を経営している。
私はというと、特にこれといった特技や才能があるわけではなく、企業した兄の会社で働いている。
よく周囲から『なんで一人だけ才能ないの?』なんて嫌味を言われたりするけれど、それは当たり前な話だった。
だって私、家族とは誰一人とも血は繋がっていないのだから――……。
幼い頃、両親を事故で亡くし、身寄りのなかった私は数年間施設で過ごしていた。
だけどそんなある日、今の両親に養子として迎えられたのだ。
お母さんはどうしても女の子が欲しかったものの、出産できない身体になってしまった。
そんな家族に迎えられ、最初は戸惑いがあったものの、両親は優しくて兄も可愛がってくれて。
すぐに今の生活に馴染むことができたのだ。
今では私にとって家族は、かけがえのない存在だ。
そんな両親から、まさかいきなりお見合い話を持ち掛けるとは夢にも思わず、飲んでいた紅茶を吐き出しそうになってしまった。