イジワル婚約者と花嫁契約
第四条『常に俺の隣を歩くこと』
六月も折り返し地点に差し掛かった。
彼とお見合いしてから、早一ヵ月が過ぎようとしていた今日も私は、いつものようにお兄ちゃんの会社で忙しなく働いていた。
「お待ちしておりました丸山様、ご案内いたします」
来客を笑顔で出迎え、応接室へと案内する。
「灯里ちゃんごめん!これ経理に渡してきてもらえるかな?」
「分かりました」
千和さんに頼まれた仕事を請け負う。
なんてことない日常。
だけど今日ばかりは、いつもと同じ気持ちでその当たり前な日常の時間を過ごせていない。
それというのも……。
「……あと二時間、か」
ふと時計を見ると就業時間終了まであと二時間。
それを確認すると、自然と深い溜息が漏れてしまった。
「どうしちゃったの灯里ちゃん、そんな深い溜息ついて」
この時間になると来客も少なく、エントランスはシンと静まり返っており、オフィスから聞こえる音が異様に響いていた。
その中では私が吐いた溜息はばっちり千和さんの耳に、キャッチされてしまったようだ。
彼とお見合いしてから、早一ヵ月が過ぎようとしていた今日も私は、いつものようにお兄ちゃんの会社で忙しなく働いていた。
「お待ちしておりました丸山様、ご案内いたします」
来客を笑顔で出迎え、応接室へと案内する。
「灯里ちゃんごめん!これ経理に渡してきてもらえるかな?」
「分かりました」
千和さんに頼まれた仕事を請け負う。
なんてことない日常。
だけど今日ばかりは、いつもと同じ気持ちでその当たり前な日常の時間を過ごせていない。
それというのも……。
「……あと二時間、か」
ふと時計を見ると就業時間終了まであと二時間。
それを確認すると、自然と深い溜息が漏れてしまった。
「どうしちゃったの灯里ちゃん、そんな深い溜息ついて」
この時間になると来客も少なく、エントランスはシンと静まり返っており、オフィスから聞こえる音が異様に響いていた。
その中では私が吐いた溜息はばっちり千和さんの耳に、キャッチされてしまったようだ。