イジワル婚約者と花嫁契約
渋々そう伝えると、両親の表情はパッと明るくなった。

「あぁもちろんさ。断りたかったら断ればいい」

「当日が楽しみね」

浮かれるふたりとは裏腹に、気持ちは沈んでいく一方だ。
まさかこの歳でお見合いするとは思わなかった。
それにふたりとも、結婚を急かすようなこと言ってきたことなんてなかったのにな。

急にお見合い話を持ち掛けてきた両親に疑問が残りつつも、腹を括った。



そして迎えたお見合い当日。
朝から苦しい着物を着せられ、ヘアメイクを施された私はちょっぴり別人みたいだった。
そんな私の目の前に現れたのは、本当に小説に出てくるヒーローのような男性だった。

「初めまして、佐々木健太郎です」

心地よい低音ボイスに衝撃を受けつつも、目の前に座る完璧な風貌に視線を奪われてしまう。

医者らしく清潔感のある黒髪の短髪。
くっきり二重の瞳に筋の通った高い鼻。厚みのある唇は彼の魅力をより一層引き立てている。
それに加えて育ちのよさそうな雰囲気。
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