イジワル婚約者と花嫁契約
「健太郎さんは、本当に私と結婚したいと思ってくれているんですか？」

一度聞いたけれど、もう一度ちゃんと彼の口から答えを聞かずにはいられなかった。
すると彼は一瞬驚いた表情を見せたものの、その表情はすぐに崩れ、とびっきり甘い顔で囁いた。

「あぁ、俺は灯里と結婚したい」って――。

健太郎さんはそのままドキドキし過ぎて何も言えなくなってしまった私を、自宅まで送り届けてくれた。
さっきのようにとびっきり甘い顔で「おやすみ」と一言残して――。

いまだにドキドキとうるさい心臓を抱えながら部屋に上がった時、スマホに届いた一通のメール。
その相手は健太郎さんだった。

件名に書かれていたのは、“嫁になるための十ヶ条”

【第四条　常に俺の隣を歩くこと】

「これって……」

思い浮かぶのはお寿司屋さんから駐車場に向かう時に言われた言葉。

スマホを手にしたまま、着替えることなくそのままベッドに仰向けになった。
そして見つめてしまうのはスマホに書かれている例の第四条。

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