イジワル婚約者と花嫁契約
「常にってことは、この先もずっと……ってことですか?」

スマホ越しにいる彼に問い掛けずにはいられなかった。

私、どうかしちゃっている。

大きな溜息を漏らし、スマホをギュッと抱きしめた。

彼に惹かれている――。
これは間違いない。

だけどそれはもしかしたら、私の恋愛経験が乏しいからなのかもしれない。
だってこんな風に異性に接っしられたことなんて、一度もなかったもの。
好きな人はいても、お兄ちゃんに邪魔されちゃっていたし。

健太郎さんは私のことをどう思っているのか分からない。
でも結婚したいと思ってくれている。

結婚って恋愛の先にあるものだと信じて疑わなかったけれど、健太郎さんは違うのかな?
気に入れば私が相手じゃなくても、よかったのかもしれない。

「断るなんて絶対無理だ」

最初は断るつもりでいたのにな。
今は無理。気持ちに確証はないけれど、確実に私は健太郎さんに惹かれているのだから――。

芽生えてしまった気持ちはそう簡単に消えてくれそうにないよ。

目を瞑ると一気に睡魔に襲われ、この日はそのままスマホを抱きしめたまま眠りに就いてしまった。
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