イジワル婚約者と花嫁契約
「おっ、お兄ちゃん……」
お兄ちゃんだけは違う。
私の姿を見るなりすぐさま珈琲を置き、新聞なんて投げ捨てて駆け寄ってきたかと思ったら、いきなり抱き着いてきたのだから。
「もー和臣ったら朝からなにやっているの?」
「いいだろ?可愛い妹とのスキンシップなんだから」
「はいはい、分かったから早く食べなさい。迎えきちゃうわよ」
もうすっかりとお馴染みの光景に、お母さんも呆れ気味。
「灯里、今日は一緒に行こう」
「え……いやいいよ!私はいつも通り電車で行くから」
やっと身体を解放されたと思ったら、急にそんなことを言い出したものだから、慌てて断った。
お兄ちゃんは毎日秘書が自宅まで迎えにきてくれている。
何度か「一緒に行こう」と言われたけれど、毎回こうやって断っていた。
いくらお兄ちゃんの妹だといっても、それだけの理由で一緒に通勤するわけにはいかないし。
「ダメだ!昨日灯里と過ごせなかった時間を少しでも取りたいし。灯里不足で仕事に集中できなくなる」
清々しいほど言い切ったお兄ちゃんに開いた口が塞がらない。
お兄ちゃんだけは違う。
私の姿を見るなりすぐさま珈琲を置き、新聞なんて投げ捨てて駆け寄ってきたかと思ったら、いきなり抱き着いてきたのだから。
「もー和臣ったら朝からなにやっているの?」
「いいだろ?可愛い妹とのスキンシップなんだから」
「はいはい、分かったから早く食べなさい。迎えきちゃうわよ」
もうすっかりとお馴染みの光景に、お母さんも呆れ気味。
「灯里、今日は一緒に行こう」
「え……いやいいよ!私はいつも通り電車で行くから」
やっと身体を解放されたと思ったら、急にそんなことを言い出したものだから、慌てて断った。
お兄ちゃんは毎日秘書が自宅まで迎えにきてくれている。
何度か「一緒に行こう」と言われたけれど、毎回こうやって断っていた。
いくらお兄ちゃんの妹だといっても、それだけの理由で一緒に通勤するわけにはいかないし。
「ダメだ!昨日灯里と過ごせなかった時間を少しでも取りたいし。灯里不足で仕事に集中できなくなる」
清々しいほど言い切ったお兄ちゃんに開いた口が塞がらない。