イジワル婚約者と花嫁契約
「ありがとうございました」
そんなお兄ちゃんの背中を見ながら、田中さんにお礼を言いオフィスへと向かおうとした時。
「灯里さん、ちょっとよろしいでしょうか?」
「え?」
足を止め振り返ると、相変わらず表情が読めない顔で私をジッと見つめていた。
「先ほどのお話ですが、残念ながら昨夜は灯里さんが期待していた展開には至らなかったようです」
「えっ……えっ!?」
ちょっと待って。どうして田中さんは私が聞きたかったことを知っているの?
混乱する私を他所に、田中さんはいつも通り淡々と述べていく。
「お話はだいぶ弾んでいるようでしたが、大川さんと代表の関係はなにも変わっておりません」
「そっ、そうでしたか……」
なんとか言葉を返す。
「それと灯里さん。ご存知のように代表にとって灯里さんは可愛くて仕方ないようです。なのでくれぐれもお見合いの件は代表の耳に入らないよう、細心の注意をお願いします」
一瞬頭の中が真っ白になってしまった。
だってなんで?どうして田中さんが私のお見合いのことを知っているの?
両親と千和さんしか知らないはずなのに……!
そんなお兄ちゃんの背中を見ながら、田中さんにお礼を言いオフィスへと向かおうとした時。
「灯里さん、ちょっとよろしいでしょうか?」
「え?」
足を止め振り返ると、相変わらず表情が読めない顔で私をジッと見つめていた。
「先ほどのお話ですが、残念ながら昨夜は灯里さんが期待していた展開には至らなかったようです」
「えっ……えっ!?」
ちょっと待って。どうして田中さんは私が聞きたかったことを知っているの?
混乱する私を他所に、田中さんはいつも通り淡々と述べていく。
「お話はだいぶ弾んでいるようでしたが、大川さんと代表の関係はなにも変わっておりません」
「そっ、そうでしたか……」
なんとか言葉を返す。
「それと灯里さん。ご存知のように代表にとって灯里さんは可愛くて仕方ないようです。なのでくれぐれもお見合いの件は代表の耳に入らないよう、細心の注意をお願いします」
一瞬頭の中が真っ白になってしまった。
だってなんで?どうして田中さんが私のお見合いのことを知っているの?
両親と千和さんしか知らないはずなのに……!