寂しがりヒーロー
「...お前、諦めんのが早すぎるんじゃねーの?」

「え...?」

「...お前さ、カモの気持ちとちゃんと向き合おうと思ったことあんのか?全部お前が決めつけやがって。可哀想なのはカモなんじゃねぇか?」


...カモちゃんが、可哀想...。

確かにそうかもしれない。

僕はカモちゃんに助けてもらってきた。
でも僕は、カモちゃんから逃げてきたんだ。
カモちゃんの気持ちなんか考えずに、自分のために逃げてきた。

カモちゃんは僕から逃げる。
そう決めつけてカモちゃんから逃げたのは、僕。


「...カモに言えばいいじゃねぇか。確かに怖いかもしんねぇけどさ、言ってみねぇとわかんねぇだろ」


...こうしてても、僕は独りになるだけだ。
カモちゃんはまだ、僕から逃げていないんだから。

言うなら今だ。

今が、カモちゃんに本当のことを伝えるチャンス。


「ありがと、仁太くん」


僕は仁太くんにお礼を言って、走り出した。

カモちゃん...今、本当の僕を伝えにいくよ。

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