寂しがりヒーロー
僕は振り向いて、辺りを見回した。

...そこには、見慣れた集団。


「玲...」

「うっわ、見つかった!」

「ったりめーだろバーカ!」

「仁太くん...」

「おい、いいムードを壊すなよ、お前らー」

「絋ちゃん...」


あまりにも緊張感がないみんなに、僕は溜め息をつく。


「玲くん、仁太くん、先輩...」


カモちゃんは更に顔を赤くする。


「いや、わりぃ。見守ってやろーと思ってさ」


仁太くんはそう言って、僕の元に歩いてきた。


「...言った通りだっただろ?」

「うん。ありがと。仁太くんのおかげ」

「...カモ!」

「へっ!?な、何?」

「伊月、やっぱお前にしか甘えらんねーみたいだからさ、甘やかしてやれよ?」

「えっ、ちょっ、仁太くん...っ」


仁太くんはいたずらっぽく笑って、赤くなる僕とカモちゃんを、微笑ましそうに見ていた。
< 105 / 108 >

この作品をシェア

pagetop