寂しがりヒーロー
「お疲れ、玲」

「いえいえ!全然ですよ!今敵が来ても、伊月さんを守れる自信しかないですよ」


得意気な顔をする玲。


「うん。頼むね」


僕がそう言うと、「任せてくださいっ」と満面の笑みを向けてくれる。

僕がトップなのに、こんなに守られていていいんだろうか、なんて、ちょっと思うけど。


「それにしても、そのカモさんってスゴいんですね」

「へ?何が?」


突然カモちゃんの話にされて、僕は戸惑う。


「だって、普段はこんなにゆるゆるな伊月さんを本気にさせちゃうような人なんですよね?」


んー...まぁ、カモちゃんは特別だし、カモちゃんのためって思ったら、他には何も考えられなくなる。

カモちゃんと僕を引き離す人も、カモちゃんを傷つける人も、許せないからね。


「カモさんって、どんな人なんですか?」

「どんな人って...優しくて、一緒にいてくれて、僕の面倒を見てくれる人。朝もね、僕の家に着て一緒に用意してくれるんだ。カモちゃんにはスペアキーも渡してあるし...そのくらい信頼できる人」

「なんか、頼れる姉貴って感じですね」


やっぱりそうだよね。
僕らは、姉弟みたいなもの。

僕にとっては、もっともっと、特別...だと思うんだけどね。

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