寂しがりヒーロー
「...伊月さんが決めたことなら、誰も反論はしないと思います。...ですが...先輩達の思いを、蔑ろにすることになります」

「えっ...どういうこと?」

「...うちはこの辺りではトップです。それは、今までの先輩方のお陰です。ここでタイマンを断れば、逃げたと思われ、降格することになるかもしれません...」


確かに、玲の言う通りだ。
今は僕がうちの高校のトップ。
でも、うちの高校をトップに押し上げたのは、絋ちゃん達。
絋ちゃん達を、ガッカリさせたくない。

僕はそこまでトップに思い入れはないけど、絋ちゃん達にとっては大切なものなんだと思うから。


「...分かった。受けるよ、そのタイマン」

「伊月さん...ありがとうございます。ですが相手は多義高校。油断は出来ません」


...油断も何も、勝てないよ。
僕がどれだけ弱いか、分かってるでしょ...?
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