寂しがりヒーロー
...頭に血が上っていくのを感じる。

カモちゃんを貰っていく...?


「...ふざけんなよ...テメェがカモちゃんに見合う訳ねぇだろ」


僕のその言葉に、相手も絋ちゃん達も驚いている。


「やっべぇ、伊月さん、マジでキレてる...」

「...別人みてぇ...目とか、全然違うぞ」


僕は相手を睨み付ける。


「...勝てないって心配してたけど、そんな心配、いらなかったですね...。...怒らせないでください、僕を」


僕は力一杯相手を殴る。

怒りを、全て込めて。


「カモちゃんは渡さない...君なんかに、絶対...!」


相手が殴りかかってきても、僕はそれを簡単にかわせた。
そして、鳩尾に思いっきり拳を入れる。


「いってぇ...っ、なんだよ、コイツ...!」

「黙ってください。カモちゃんを軽く見た君に相応のお返しをしなきゃ、気が済まないんで」


そう言って、また殴る。


「うっ...」


僕が殴り続けている間、相手は呻き声を何度も上げ、最後には倒れた。

それでも尚殴ろうとする僕を、絋ちゃんや玲が止めた。


「もういいっす!勝ちましたから...!」

「カモさんは取られたりしないっすから!」


必死になって止められ、僕はようやく落ち着く。


「...ごめん、イラついちゃった」


僕がそう言って笑うと、みんなは引いているような表情。


「えっ、ちょっと、引かないでよ...ほら、トップ守れたんだし...!」


僕がそう言うと、みんなは困ったように「よかったです...」と笑った。
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