寂しがりヒーロー
「伊月ー」


カモちゃんに呼ばれ、僕はカモちゃんの元に駆け寄る。


「な、何ー?」


まさか、怪しまれた...?


「昨日、晩御飯食べた?」


...へ?
不安を隠しきれない僕に、カモちゃんは僕の考えとは大きく外れたことを言ってきた。


「え...なんでそんなこと聞くの?」

「いや、朝に聞いてなかったなぁって。伊月は言わなきゃ食べないから」


...なんだ。
ビックリしたじゃん。


「食べたよー」

「そっか。何食べたの?」

「...えっと...」

「んー?」

「.....あ...を...た...した」

「え?もう一回言って」


うぅ...絶対怒られるし。


「はい、もう一回」

「...飴を...食べました」

「え、伊月、まさか昨日俺があげた飴で御飯終わらせちゃたの?」


玲が驚くように言う。
まぁ、多分玲は、あんなに喧嘩したのに、よく飴だけで大丈夫だったねってことだろうけど。


「...いーづーきー?」


うわぁ...本当、怒ってる...。


「ご、ごめんなさ...っ」

「もう!だからちっちゃいままなのよ!伊月、ぜんっぜん成長してないでしょ!」

「い、いや、伸びたよ、伸長!2㎝も!」

「いつから...?」

「...中1...」

「いつの話よ!もう...そんなんじゃ喧嘩になった時死んじゃうよ?」


カモちゃんのその言葉に、男子は全員唖然とし、玲は笑いを堪えていた。
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