寂しがりヒーロー
制服を着てダイニングに行くと、美味しそうな朝食が並んでいた。

カモちゃんは料理が上手くて、カモちゃんが作った料理は何でも美味しい。


「早く食べよう?」

「うん...って、また人参入ってる...」

「人参は栄養がいっぱいなんだよ?食べなきゃダメ」

「うぅ...カモちゃんの意地悪っ」


カモちゃんは料理は上手いけど、その料理の中に僕の苦手な人参を紛れ込ませることがある。

お陰で『意地悪』っていうのが口癖になっちゃうくらい。


僕は恐る恐る人参を口に運んだ。
不味い...こんなの、食べ物じゃない...。

そう思いながらも飲み込むと、「よく出来ました」とカモちゃんは僕の頭を撫でた。

きっとカモちゃんにとって、僕は弟と同じような物なんだと思う。
小さい頃から、僕はカモちゃんにお世話になっていたから。

僕にとってのカモちゃんは、お姉ちゃんかと聞かれれば、なんだか納得出来ないし、かといって彼女かと言われればそれも悩む。

僕なんかが、カモちゃんの彼氏になれるわけ無いからね。
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