寂しがりヒーロー
「...へぇ、君がトップの伊月って奴?」

「...そうですけど」

「驚いたよ。まさかこんなにチビなんて。それでよくトップでいられるねぇ」


まるで小さな子供を見るような目。



「...そんなこと言えるのも、今のうちだと思いますよ」

「...はぁ?」

「...カモちゃんを騙していいのは僕だけだ」


カモちゃんを騙す人も、悲しませる人も、許さない。

相手は完全に油断している。
...いいよ。
油断していれば。
すぐに倒してやる...!


「口は達者なんだな。今からその口、使えなくしてやるから待ってろよ」


そう言って、千章高校のトップは片手を上げた。


「お前ら、やれ!」


トップのその言葉を合図に、何十人かの男子生徒が走ってくる。


「伊月さんっ!」


絋ちゃんが僕の名前を呼ぶ。


「...僕のことは心配しなくていいよ。好きなようにやっちゃって」


僕がそう言うと、みんながふっと笑みを浮かべ、頷く。

...カモちゃんを騙したらどうなるか、知ってもらわなくちゃね?
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