寂しがりヒーロー
「どうせだし、先輩方も家で夕食、食べませんか?」


カモちゃんの言葉に、みんなは一斉に僕の方を向く。

...正直、嫌だ。


「なんで?」


普通に聞くつもりが、あからさまに不機嫌になってしまう。


「だって、先輩方が助けてくれたんだよ?お礼したいじゃん。それに、賑やかな方が伊月もいいでしょ?」


その言葉は、僕の気持ちも考えてくれているのがわかる。

僕が寂しくないようにって、きっと考えてくれてるんだと思う。


「...分かった。じゃあ、来ていいですよ、先輩」

「お、おう。ありがとな、伊月」


絋ちゃんの笑顔はかなり固い。

ごめんね、絋ちゃん。
絋ちゃんでもやっぱ嫌だから、カモちゃんを取られるの。


「じゃあ決定!お母さん達に連絡しておきますね」


カモちゃんはそう言っておばさんに電話をし始めた。


「...ねぇ」

「な、何でしょう!?」


かなり不機嫌な僕の声色に、みんなの背筋が伸びる。


「...カモちゃんにアピールとかしたら、抹消するからね」

「し、しませんよっ!」

「そ、そうっす!カモさんに手出しする奴なんか、ここにはいません!」

「...そっか。ならいいんだけどね」


僕がそう言って微笑むと、みんなは安堵のため息を漏らした。
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