寂しがりヒーロー
「なんか...すごいねー」


僕がそう言うと、みんなが無言で頷く。


「...いや、負けちゃダメなんすよ!?」


諦めムードの僕らを、絋ちゃんは焦りながら励ます。


「あー...うん。まぁ、そうだよね」

「しかも、この辺りのトップを倒してるってことは、伊月さんのところにも来るんじゃないですかね」

「えぇー...なんかやだ」

「いやいやいやいや」


そんな馬鹿みたいな会話をしていると、予鈴が鳴った。


「まぁ、また後で話そうよ、その事については」

「そうですね」


僕らは解散して、それぞれの教室に向かう。
僕が授業に遅刻なんてしたら、カモちゃんに怒られちゃうからね。

僕と玲は教室に戻り、席に着いた。

それから少しして、担任の先生が入ってくる。


「おはよう」

「おはようございます」

「今日は、転入生がいるんだ。入ってこい」


先生の言葉の後、教室の扉が開き、一人の男子生徒が入ってきた。


「自己紹介、してくれるか」

「はい。風上仁太です。よろしくお願いします」
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