寂しがりヒーロー
風上...仁太...!?

正直、ビックリした。

彼が今噂になってる人、かぁ。

...でも、そんな風には見えない。
喋り方はなんか怠そうだけど。

外見だって、絋ちゃん達とは全然違う。
髪だって黒髪で、制服だって着崩すことなくちゃんとしている。
どちらかと言えば、僕に近い。

僕と違うのは、長身だってことと、カッコいいってことかな。


「ねぇ、転入生カッコよくない?」


女子の騒ぐ声があちこちでする。

でも、彼はそんなことを気にせず、空いていた僕の後ろの席に着いた。

僕は反射的に振り返ってしまった。


「か、風上仁太くん...?」

「ん?あー、そうだけど」


かなり怠そう。
やっぱ何人も倒してきた人にはとてもじゃないけど見えない。


「君は?あー、下の名前だけでいいや」

「え?伊月だけど...なんで下の名前だけでいいの?」


僕がそう聞くと、仁太くんは笑ってこう言った。


「弱いヤツの名前なんか、聞いてもどうせすぐ忘れるから」と。
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