寂しがりヒーロー
同じ技を、何度も使うことは出来ない。

だから僕は、仁太くんからの攻撃を避けながら、隙を見て殴ることしか出来ない。

...それでも、勝つのは僕だ...。

傷だらけの体は痛いし、こんなの初めてで、すごく戸惑うけど、でも、僕は負けない。

仁太くんの息遣いが聞こえる。
それは明らかに不安定になっていて、疲れているのが分かる。

それも当たり前だと思う。
時間はかなり経っているし。


「っはぁ、はぁ...伊月、お前体力あるんだな」

「んー...もう結構疲れちゃったよ。だから...早く終わらせるね」


正直、僕も体力はもう限界に近い。
だからこそ、今ある体力を振り絞って...。

僕は思い切り仁太くんを殴る。
仁太くんはそれをギリギリで避けて、また僕を殴ろうとする。

それを僕は必死に避けて、また殴る。

今隙を作ったら、確実にやられる。
だから僕は仁太くんが殴る隙を与えず、仁太くんを蹴った。

仁太くんは倒れずどうにか踏み留まったけど、すぐにふらつき、崩れ落ちた。

それを見て、僕も崩れ落ちる。


「伊月さん...!」


フラフラと駆け寄ってくるみんなを見て、勝敗が決まったことを再確認する。

...勝った...。

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