寂しがりヒーロー
仁太くん曰く、カモちゃんは教室にいるらしい。
僕達はふらつきながらも全員で教室に向かった。

でも、そこで見た光景は、僕らを呆然とさせるものだった。

カモちゃんは、のんきにスマホを構って、ふわあぁと、間抜けな欠伸をしていた。


「か、カモちゃん...?」

「あ、伊月!っていうか、遅いよ~仁太くん」

「ん、悪い」


...えーっと、拉致って、こんな感じだっけ?
こんなにゆる~いものだっけ?


「それで、見つかった?仁太くん」

「あぁ。見つかったよ」

「それならよかった...って、なんでそんなに傷だらけなの!?伊月も仁太くんも先輩方も...!」

「みんな熱心に探してくれたんだよ」

「え、待って、どういうこと?」

「見つかったって何がだよ」

「俺ら、別に何も...」

「何言ってんだよ。一生懸命探してくれただろ?俺のスマホ」


...なーんだ。
そういうことか。


「うん。もう、大変だったよ~。仁太くんのスマホ、ほんっと分かりにくい所にあるんだから」

「伊月...?」


僕はキョトンとしていたみんなにアイコンタクトをとる。
みんなはそれを察してくれたらしく、「ほんとだよ」「おかげで傷だらけだっつーの」と話を合わせてくれた。


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