寂しがりヒーロー
「...カモって、そんな酷い奴なのか?」

「えっ...?」

「だから、カモはお前の強さを知ったらお前から離れるような、そんな酷い奴なのかって聞いてんだよ」


酷い...?
なんで...?


「...当たり前、じゃないの?今まで弟だと思ってたのに、暴力的で更にはトップ、なんて、そんなの怖がるに決まってるじゃん」

「...お前は暴力的じゃねぇだろ」

「...十分暴力的だよ。いつ自分が殴られるだろうって、怖くなるよ、きっと」

「...アイツは...そんなこと思わねぇよ、きっと」


カモちゃんの何を知ってるの?
思わずそう聞きそうになった。
だけど、僕がカモちゃんの何を知ってるかって言われたら、分かんないこともあると思うから。


「...確かにカモちゃんは優しいよ。だけど、僕はカモちゃんと、距離が出来るのが怖い。だから...僕は隠し続けるつもりだよ」


僕の言葉に、仁太くんは少し悲しげだった。


「...やっと、見つけられた気がしてたのにな」

「え...?」

「...本気で、相手を信じられる、俺が今まで見たことがねぇ奴らや景色。お前らが、そうだと思ったのに」

「どういうこと...?」

「...俺、仲間なんて作らねぇって決めてたんだよ。裏切られたから」

< 72 / 108 >

この作品をシェア

pagetop