寂しがりヒーロー
「...伊月、顔色悪いよ?」

「えっ...そんな...こと...」


突然そう言われて、僕は戸惑いながらも否定する。


「ちょっと、じっとしてて」


そう言ってカモちゃんは、僕の額に手をあてる。
カモちゃんの手、冷たくて気持ちいい...。


「やっぱり...伊月熱あるよ?」

「え...そ、そんなこと、ないよ!元気だって、ほら...!」


そう言って立ち上がるけど、僕はフラフラとしゃがみこんだ。

頭が痛くて、宙に浮いてるみたいな、ふわふわした気持ち悪い感覚。


「伊月...!保健室行こ?」

「だ、大丈夫...だよ...」

「そんなフラフラしてて大丈夫じゃないでしょ!」


カモちゃんはそう言って僕を支える。


「だから元気無かったんだね」


...僕がこんなに今辛いのは、熱のせい?
僕がこんなに悩んでるのは、熱のせいで精神的に弱ってるから?

...きっと、それだけじゃない。

一番大きいのは、カモちゃんへの罪悪感。
< 76 / 108 >

この作品をシェア

pagetop