寂しがりヒーロー

見物客、です。

退屈な授業が終わり、昼休憩になった。
僕は玲と一緒に空き教室である地学教室に入った。


｢あ、伊月さん｣

｢こんにちは、伊月さん｣

｢こんにちは！｣


集まっていた8人が一斉に僕に頭を下げる。


｢いつも言ってるでしょ？そんなに律儀にしなくてもいいって...｣


朝に挨拶はしてもらったからもういいよ...。


｢伊月さんはもっと偉そうにしてていいんすよ？｣

｢もう...絋ちゃん、分かってるでしょ？僕は偉そうにしないんじゃなくて出来ないんだってば｣

｢まぁ、伊月さんらしいっすけどね｣


絋ちゃんはそう言って笑う。

ここに集まった10人は、この高校のナンバー10。
一応言っておけば、玲はナンバー7。
玲も結構強い。
今の僕が相手だったら、僕は瞬殺されるだろうな...。


｢伊月さん、新岸高校が今日の放課後、殴り込みに来る、と噂で聞きました｣


そう教えてくれるのは、トップ5の新宮颯太。
僕はふーって呼んでる。

ふーは情報収集が得意で、いつも他校の情報を集めて僕らに教えてくれる。


｢ふー、新岸高校って、確かこの辺りでは4番目くらいに強い所じゃなかったっけ？｣

｢よく覚えていましたね、伊月さん。そうです。ですから、手こずることはないかと。あ、もちろん伊月さんの手は煩わせません。お任せください｣


ふーの言葉に、うんうんと頷くみんな。
本当、頼りになるし、優しい。

こんな僕を守ってくれるなんてね。


｢うん。ありがと、みんな｣

｢当たり前のことですよ。では、放課後に校庭に集まりましょう｣


昼休憩が終わり、僕らはそれぞれの教室へと戻った。