寂しがりヒーロー
...終わった。

直感的にそう思った。


「う...あ...え...っと...これ、は...」

「い、伊月...どいて...っていうか、この人達、誰...?友達...では無さそうだけど」


カモちゃんは苦笑いを浮かべている。


「と、友達な訳...無いじゃん...」

「だ、だよねー...」


僕はゆっくりカモちゃんから離れ、立ち上がった。


「ふはっ、噂通りちっちぇえのな」

「...よく、言われます」

「チビのくせに女襲ってたのか?」


一人の言葉にハハハと笑い声が続く。


「襲ったりなんかしない。カモちゃんは、大切だから...。僕は、守るだけだ」


そう言って僕は、その人達の前に立った。


「伊月...?」

「カモちゃん、僕の後ろに隠れてて」

「えっ...?」


起きあがったカモちゃんを、僕の後ろに隠す。
今の僕の体力は、普段より無くて、戦うなんてもっての他。
でもせめて、カモちゃんの盾になることくらいなら...。

そう思い、僕の方に伸びてくる拳を見て、目を閉じた。

その瞬間。


「うあっ!」


目の前で呻き声が聞こえた。

僕は目を開ける。
そこには、仁太くんがいた。

仁太くんの目は獣のようで、怒りが感じられた。


「仁太、くん...!」

「テメェら...コイツらに指一本でも触れたら、どうなるか分かってんのかよ」


そう言って仁太くんは、その人達を殴り倒していった。
< 86 / 108 >

この作品をシェア

pagetop