寂しがりヒーロー
「ゼリー...?」

「あぁ。色々あったし、腹減っただろ?」


仁太くんはそう言って僕を見つめる。
その目が、頷くように訴えているような気がして、僕は「う、うん」と戸惑いながらも頷いた。


「分かった、買ってくるから待ってて!仁太くん、伊月のこと、お願い」

「あぁ」


カモちゃんはゼリーを買いに走っていった。


「えっと...仁太くん」

「ん?」

「とりあえず、ありがと。ほんと、助かった」

「あぁ。そのくらいどうってことねーよ」

「...それで、何か僕に話すことでもあるの?」


僕がそう聞くと、「あぁ」と言って、僕を見つめる。


「お前、カモのこと好きだよな?」

「えっ...」


突然の問いに、僕は戸惑いを隠せない。

カモちゃんが好きか、なんて。
なんて答えるのが正解なの?

そう悩みながらも、僕は仁太くんを見つめて、「そう、だよ」と答えた。


「...だったらさ、やっぱ伝えろよ、ちゃんと」

「え?」

「...やっぱさ、見てらんねーの。お前のぎこちなさ」


なんで、そんなこと言うんだろう。

僕が告白したら、仁太くんは困らないの?
それとも、自信があるから?


「...なんでそんなこと言うの?」

「え?」

「...っ仁太くんだって、カモちゃんのこと好きなくせに...!」


僕がそう言うと、仁太くんはキョトンとした顔をする。


「...は?それのどこが問題なんだよ」

「どこがって...自分が好きな相手に他の人が告白するのって、普通嫌じゃないの?」

「...お前、なんか勘違いしてねぇ?」

「え...?」


もう、訳が分からない。


「好き、でしょ?カモちゃんのこと」

「あぁ。好きだよ。お前と同じくらい」


...は?
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