寂しがりヒーロー
走って、走って、肺がおかしくなりそう。
苦しいし、足も痛い。

でも、そんなこと、どうだっていい。

一刻も早く、最宮高校に...!

僕は最宮高校に着くと、物置小屋の扉を思いっきり開けた。


「おぉー。トップさんのご登場~」


ふざけたような言い方をするのは、僕らより4、5歳くらい歳上の人達。

視線をその人達から逸らすと、口や手足を縛られたカモちゃんや仁太くん、絋ちゃんや玲達がいた。


「ったく、大変だったんだよ?君を誘き出すためにコイツらを大人しくさせるの。特にコイツ?血の気多すぎ」


そう言って、その男は仁太くんを蹴った。

手足を縛られた仁太くんは、反抗することが出来ず、イラついた様子で男を睨む。

絋ちゃんや玲も、その男を睨み付ける。
でもその男は、嘲笑うように絋ちゃん達を見て、「なんだよ?文句でもあんのかー?」と思いきり蹴った。


「...なんで、こんなこと...」

「いやぁ~俺らがいた頃はさ、俺ら、結構有名だったのに、君が出てきてから随分とナメられちゃってたみたいでねー。一目、君を見ておこうと思って」

「でもまさかこんなオチビさんだとは思っても見なかったよ」

「それに彼女までいるんだー。ハハ、ませてんねぇ、最近のガキは」


カモちゃんの方を見ると、涙目で震えている。

...許せない...。
カモちゃんを泣かせるヤツなんか...。
仁太くんをバカにするヤツなんか...。
絋ちゃんや玲達を見下すヤツなんか...。

僕が、倒してやる...!
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