雲外に沈む 妖刀奇譚 第弐幕
《が、がんばるます》
〈るますって、かわいい〉
《るますwww
じゃーお休み♪思葉ちゃん、同じクラスになったらよろしくね♡
綾乃ちゃん、リケジョがんば(っ`・ω・´)っ》
〈お休み〉
《おやすみなさい》
昨夜寝る前に実央と綾乃とメッセージのやり取りをしたからではないが、今日はいつもより少しだけ丁寧に髪を梳かした。
変わらないところが多くても、今日から新しい生活がスタートする。
普段とはちょっと違うことをしてみれば、それだけでモチベーションが上がる。
(新学期にイメチェンする人が多いのはそのせいなのかなあ……)
丸テーブルの前に座り、手鏡に映る自分を見ながら思葉はそんなことを思った。
腰のあたりまで伸ばしっぱなしだった髪は、春休みに入ってすぐに肩甲骨のあたりまでばっさりと切った。
髪を全部右側に流し、薄桃色のシュシュでひとまとめにする。
「珍しいな、髪の手入れか?」
なぜか玖皎がちゃかすような口調で言ってきた。
思葉は鏡を見たまま答える。