雲外に沈む 妖刀奇譚 第弐幕
橙色の台紙の名簿は文系、青色の台紙の名簿は理系クラスとなっている。
霧崎綾乃は青色の台紙の名簿の方に立っていた。
「おはよう、実央ちゃん、思葉ちゃん」
実央に肩を叩かれて振り返った綾乃が微笑む。
「おはよう、綾乃さん、何組だった?」
「6組だったよ。宮本さんと北野さんが一緒だった」
「ああ、元7組の二人か。
良かったね、茶道部員と同じクラスになれて」
「うん、ちょっと安心」
嬉しそうに笑う綾乃を見て、思葉も似たような心境になった。
三人の中で理系クラスを選択したのは綾乃だけ。
新しいクラスでほとんど話したことのない人ばかりだったらどうしようと、少し心配していたのだ。
もちろん、自分が振り分けられるクラスに対してもである。
「思葉ちゃん、あたしたちも確認しに行こう」
「うん」
実央に腕を引っ張られて思葉は頷く。
すると、文系クラスの人だかりの中から來世が出てきた。
もう確認してきたらしい。
「喜べ、思葉、あと武川も。おれらまとめて3組だぜ」
「えっ、マジ?」
実央が背伸びをし、目を細めて名簿を確認する。
これは決して來世の言葉を信用していないのではなく、自分の目で確かめないと気が済まないからだ。