雲外に沈む 妖刀奇譚 第弐幕






2年生の教室は東棟の2階と3階に分かれている。


文系クラスが2階で、理系クラスが3階だ。


去年よりも格段に教室と昇降口、その隣にあるロッカールームとの距離が短くなったのは非常に嬉しい。


理系クラスの綾乃と階段で別れた思葉たちは新しい教室へ向かい、黒板に大きく書かれた座席表から自分の席を探した。


男女別の出席番号順で、思葉の席は窓側から3列目、後ろから2番目だった。


ちなみに実央の席は窓側の列の前から3番目、來世の席は廊下側から2列目の真ん中である。


來世はかなり知り合いがいたらしく、席に鞄を置いてすぐに男子のグループに加わっていた。


相変わらず順応性というか、コミュニケーション能力が高い。


対する思葉はそこまで人脈が広くないので、実央と窓によりかかってとりとめのないおしゃべりをして時間を潰した。


チャイムが鳴り、生徒会役員の指示で体育館へ移動する。


始業式を終え、教室に戻ったときには、もう嫌な感覚はなくなっていた。



「えー、それでは名前を呼んでいきますので。


もし読み間違えていたら訂正してください」



担任は英語担当の瀬尾正文(せお まさふみ)、セオりんという愛称で親しまれる、生徒からの人気がなかなか高い教師だった。


ひょろりと背が高く細身で、少し猫背気味なのが特徴である。




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