隣の席の、クソ悪魔。
「ごめん、マジで悪かった」



そう言って中村に携帯を返した。



その後、なぜか俺は中村に葵と呼べなんてことを言っていた。



こんなことを自分から女に言ったことはない。




まあ、クソ悪魔から松山になっただけで、葵とは呼んでくれなかったけど。




「いつかはちゃんと葵って呼べよ


あ、それととにかく俺の本性は秘密にしとけよ。」





最後に俺はそう言って図書室から出て行った。




どうして葵って呼んでもらいたかったのかはわからない。




しかし、中村…

いや、沙羅のことをもっと知りたいと思った。





もうこの時から、沙羅は俺の中で特別な存在だったのかもしれない。
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