鳥籠の中の運命。
私の態度が気に入らなかったのか、一花様は小さな声で私に言う。
「翠…ちゃんと私を見て?」
ご主人様の命令は絶対。
逸らしていた視線を一花様に向ける。
「どう?」
「言葉が出ないほど…とてもお美しいです」
さすがオーダーメイド。
彼女に似合いすぎて、もしも他の人がこのドレスを着てもきっとちっとも似合うなんて思わないだろう。
それほどまでにウェディングドレスは一花様にとても似合っていた。
「翠に褒めてもらえるなんて嬉しい…ありがとう」
「私なんかより、新郎の啓介様に褒めて頂いた方がよろしいですよ」
ニッコリ笑って嘘をつく。
「あの人は私にそんなに興味ないわ」
「そんなこと言ってはなりませんよ。
啓介様はきっと、一花様を大切に想って下さっていますよ」
「…それは翠よりも?」
「……」
「フフ、無言の応えね…いいわ、気にしないで」
一花様の問いに沈黙を選択した私に、一花様は微笑んだ後、
窓際に近づいた。