鳥籠の中の運命。



2人の間に無言の空気が一瞬流れた。


しかし、すぐに私が壊す



「…その言葉は可笑しいだろ」


怒りと悲しみの感情で。


「私を忘れないでという言葉は卑怯だろ」


「翠…」


いつもならご主人の一花様にこんなに逆らうことや況して敬語で話さないなど皆無、する訳がない。

しかし、今はそんなこと関係ない。

主人もお付きも関係ない。

この話題は対等でないといけない。


先程までされていたことを今度は自分がするように

彼女の頬を触る。


「忘れられる訳がないだろ、貴方を仕えて10年、ずっとずっと側にいた。

きっとあと数年したら貴方は嫁ぎ、私のもとから去る人だと覚悟してずっと貴方の側にいた」


触ることすら躊躇してしまう程、大切だった。


大切で、大切で、そして、愛しい主人。


「なのに…あなたは残酷な選択をした」


「…そうね、翠にとって辛い選択をしたと思うわ」


「そう思うなら、なんであんなことっ」


彼女の頬を触っていた手は段々と下がり肩の上で震える拳として変わる。


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