鳥籠の中の運命。
やはり彼女は残酷だ。
「自分のモノにならないのに、ずっと側にいないといけない気持ちをお分かりですか?」
俺はずっとこれから先も、叶わない相手だけを想って過ごさないといけないのか?
「だからあの時謝ったでしょ?
『ごめんね』…って」
「あの時…?」
何時だ…?
そう考えた瞬間、2日前の桜を見ていた時のことを 思い出す。
「まさかあの謝罪は…」
あの時濁した謝罪は…
「翠の人生奪っちゃって、ごめんね」
これからの人生の謝罪。
「そんな…」
全身の力が抜け、呆然と彼女の目の前に立ちつくす。
彼女はそんな私の胸に手を当てた。
「これからもよろしくね、翠」
「は……い」
主人の命令は絶対。
「そろそろ啓介さんがいらっしゃるから出て行って」
「はい…」
一花様から離れ、控え室から出ようとドアを開けると、タイミング良く啓介様がいらっしゃった。